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「やりがい」が「お客様体験」の向上へ。ヤマシタの人財戦略に迫る

介護用品販売のヤマシタの人事制度改革。高齢者対応、社員や利用者の満足度向上を目指す取り組みについてご紹介します。
※2023年3月28日に、ビズリーチにて掲載されていた内容を転載しています。

創業から長年にわたり、介護用品レンタル・販売事業で在宅介護を支援してきた株式会社ヤマシタ。日本の超高齢社会において成長し続ける同社は、抜本的な人事制度改革に取り組んでいます。今回は「人財戦略」の要となる「EX(社員の仕事のやりがい)⇒CX(より良いご利用者様の体験)」を設定した意図や現在の取り組みについて、人財戦略部・人財本部部長の菅原聡氏と北関東ブロック長の廣瀬智也氏にお話を伺いました。

介護業界を改革するための抜本的な取り組みが必要

はじめに、現在の介護・介護用品レンタル業界を取り巻く状況を教えてください。

人財戦略部 人財本部 部長/菅原 聡の画像

人財戦略部 人財本部 部長/菅原 聡

超高齢社会に突入して久しい日本では、要介護者数・要支援者数が年々増加しています。厚生労働省によると、2020年時点で約680万人だったところから、2040年には1,000万人近くまで増加する見込みです。それと連動するように、介護用品レンタル業界も成長の一途をたどっており、現在の約4,000億円の市場規模から、今後も年5~7%程度の成長が見込まれています。

一方で介護業界は、「低賃金・長時間労働・人手不足」といった多くの課題が山積しているのも事実です。国税庁の調査によると、介護業界の給与水準は14業種中10番目となっており、相対的に低くなっています。

そのため人材が集まりにくく、2040年には約69万人の介護人材が不足するという試算もあります。そうなると、介護サービスを適切に受けられない「介護難民」が急増する可能性が高くなります。

「介護難民」を回避する手段の1つは、介護用品の活用を推進し、自立した生活を送るための支援を広げることです。ご利用者様の自立を促しつつ生活の質を上げ、介護するご家族の負担を減らす。そうすることで、介護保険の費用負担是正にも貢献できる可能性が高まります。ヤマシタが在宅介護支援に注力する理由はまさにここにあります。

業界が抱えるさまざまな課題を前に、ヤマシタはどんなことを考えているのでしょうか。

当社は、業界構造を変革する「旗振り役」になりたいと考えています。日本の発展を支えてきた高齢者が安心して、快適に生きられる社会を作ること、それはヤマシタが掲げる「正しく生きる、豊かに生きる」という理念そのものなのです。

まず達成しなければならないのは、介護業界の賃金水準を上げることです。賃金が低い理由の1つに、小規模事業者が3,000社以上も乱立し、労働生産性が高まらないことが考えられます。業種ではリーダーとなる企業群が市場シェアを高めた結果、生産性が向上し、労働分配率が最適化され、賃金が上がった事例があります。

当社が2030年までの長期ビジョンで年間売り上げ850億円を目指すのは、シェアを高めて業界変革をリードするとともに、生産性の高い働き方を通じて、賃金の向上を実現し、業界に良い影響を与えていくためです。この目標を実現するべく着手したのが、新たな「人財戦略」の構築です。

「人財戦略」を構築するにあたり、まずはどんなことに着目されたのでしょうか。

私は2022年4月1日に入社し、現在10カ月目です(取材時点)。入社当時は、「経営戦略」のビジョンはありましたが、具体的な施策がまだ定まっておらず、従業員の生産性を上げるためのプロセスも構築されていない状況にありました。

また、ヤマシタは近年、利益は2桁成長を続けているものの、従業員のEX(仕事のやりがい)はあまり高いとはいえない現状もあります。その理由をひもといてみると、「事業拡大に伴って想定外の問い合わせが増え、業務手順が複雑化。目の前の仕事をこなすことに追われている」「会社の成長と自身の成長がつながっていない」などが見えてきました。

そこで、人財戦略の肝に据えたのは「EX(仕事のやりがい)からCX(より良いご利用者様の体験)」という考え方です。EX⇒CXのサイクルを回すことで、ひいては生産性向上の実現を目指します。EX向上はCX向上につながり、EXがわずかに向上するだけでも収益を生むという構図は、すでに裏付けが確認されています。

「EX⇒CX」のサイクルを回すための具体的な取り組みについて、もう少し詳しく教えてください。

3つの取り組みをご紹介します。

1つめは、「育成プロセス」の分析です。これは、社員が上司の育成に関する方針、環境整備、支援等の実態を評価する仕組みです。この仕組みを導入することで、EXの主役である社員が成長し、質の高いサービスを生み出すことに上司が貢献しているかがわかります。実際、社員約1,200名のうち、約99%が2週間で評価を完了し、半数近くの社員が上司へのフィードバックコメントも記載。社員自ら育成プロセスのカイゼンに携われるようになりました。

2つめは、「能力開発」に関する施策です。主たるものとして、従来行っていたトレーニングに加え、AIによる能力診断とフィードバックの仕組みを導入しました。これにより、上司と部下による1on1の「対話の型」を作り、育成速度の向上を図ります。

AI分析結果をもとに、双方向のフィードバックや研修を行い、社員からは「上司からのフィードバックが分かりやすくなった」「話しやすい雰囲気になった」などのコメントが寄せられています。

3つめは、「人財の早期育成・昇格」に向けた取り組みです。新たな社員が短期間で即戦力化することは、生産性向上の実現においてもっとも重要な課題です。

以前は明確な育成基準やプロセスがない状態でしたが、まずは新たな社員が独り立ちするまでのガイドラインを作成し、昨年4月の入社者から導入を始めました。9カ月時点の結果では、新卒の15%強、キャリア採用の60%弱が独り立ちを完了。入社者全員が1年で戦力として活躍できる見込みです。今後は、専門職やマネジメント層の要件化を拡大していく予定です。

テクノロジーを導入した人事改革で、やりがいを実感しやすい環境に

今回採用を強化するマネジャー職に期待することを教えてください。

人財戦略部 人財本部 部長/菅原 聡の画像

経営陣と現場をつなぐ存在になっていただけたらと考えています。経営層は全社視点での施策を考えますが、現場で何をどうアレンジすればよいかは、営業所単位で考える必要があります。

たとえば、営業所によって人員の構成やスキル、仕事のやりがいもまちまちです。新設されたばかりの営業所もあれば、長期間の取引実績がある営業所もあります。全社で追いかけているKPIはありながらも、状況の違いに応じて、独自の戦略を立てる必要があるのです。

各営業所、チーム単位で営業の運営方針を立てていくので、どうすれば「EX⇒CX⇒収益増」につなげられるかを考え、施策に落とし込むチャレンジは、営業マネジメントのキャリアのなかでも、唯一無二の経験になるのではないかと思います。

現在、「営業所運営の型」「チーム運営方針」の仕組みづくりにおいて「EX⇒CX⇒収益増」の継続的カイゼンをしているので、一緒に成長を加速していければと考えています。

今、ヤマシタにマネジャー職として参画する醍醐味を教えてください。

ヤマシタのマネジャー職一人一人には裁量があり、担当する営業所やブロックで自らの戦略に基づいてさまざまな施策を提案・実行できるため、これまでのキャリアで培った皆様がマネジメントスキルを存分に発揮し、ご自身を高めることができる環境があります。

個人的には、当社は「ちょうどいい」規模感の会社だと感じていて、「会社の歯車」にならずに、世の中に対してインパクトを与えるこができます。一方で、「ゼロから自分で構築しなければならない」ということもありません。自身のアイデアや工夫をしっかり形にできることで、それがやりがいにもつながると考えています。

また、ヤマシタは経営層と社員の距離が近く、いつでも相談や意見交換ができる環境もあります。社長の山下をはじめ、経営層は積極的に社員の意見を取り入れようという思いを持っています。

私自身も入社1年未満ですが、提案した内容に価値があれば、すぐ取り入れられ、スピーディーに対応してもらえるのは、これまでいた企業では得られない経験でした。人財戦略部としても、社員一人一人が持てる能力を発揮できるような体制構築に引き続きまい進していきます。

「これまでに培ったスキルや経験をさらに広げたい」「成長著しい介護・福祉の領域で新たなキャリアを築きたい」「社会貢献を体感したい」という方とお会いできることを楽しみにしています。

社員のやりがいを追求することで、現場に変化が生まれた

ホームケア事業部 北関東ブロック長/廣瀬 智也

ホームケア事業部 北関東ブロック長/廣瀬 智也

「ブロック長」として担当地域の所員の方々を統括している廣瀬さんですが、新たな人財戦略について、現場ではどのように受け止められているのでしょうか。

経営層から「EX⇒CX」について伝えられた当初は、これをまったくの「新しい言葉」として受け止めた人もいました。ですが、具体的な話を聞くと、これまで自分たちが取り組んできたことの延長線上にあることがわかりました。もともと、「やりがいと生産性の両立」を目指していた社員も多かったため、言いたかったことを代弁してもらえたような気持ちです。

以前も業務効率化に取り組んだことはありましたが、目の前のタスクに追われて、後回しになっているのが現状でした。「業務効率化」「生産性」という言葉だけが切り出され、温度感が冷たく、ご利用者様をないがしろにするかのようなイメージが先行してしまったのだと思います。

まだ「EX⇒CX」の取り組みは始まったばかりですが、社員同士で「わたしのやりがい」について話す機会は増えていますし、士気が上がったと感じています。

「EX⇒CX」を軸とした人事改革で、社内の雰囲気がどう変わったか、さらに詳しく教えてください。

まず、チームワークを意識するメンバーが増えました。これまで、営業所内での会話は月次の新規受注件数や売り上げなど、実務に関する話題が大半でした。今はお互いのやりがいから中長期のビジョンまで、さまざまなテーマで話すシーンが生まれています。

また、ご利用者様へのヒアリングの姿勢も変化しました。介護用品レンタル業では、ご利用者様の困りごとをヒアリングし、それに応じて用具を導入していきます。たとえば最初にベッドを導入するケースで、きちんとご利用者様のニーズをくみ取り、「生活が楽になった」という実感を持っていただければ、次は車いすや手すりを追加するなど、継続して関係を構築できます。

こうした介護用品の導入プロセスやノウハウはこれまで属人的でしたが、現在はチームで対応できる体制に変化しました。顧客満足度調査の結果は現時点で確認中ですが、「自らのやりがい向上が、ご利用者様の体験価値の向上にもつながる」というサイクルが少しずつ浸透しているような実感があります。

「社員のやりがい」「ご利用者様の笑顔」双方に貢献する

マネジャー職として、廣瀬さんが大切にしていることは何でしょうか。

私は「ヤマシタで働く仲間を大切にしたい」という思いのもと働いています。たとえば、メンバーを見ていて「こんな点が良くなった」と感じることがあれば、本人自身が成長を実感できるように、できるだけ言葉にするようにしています。社員が成長を実感する時間が増えれば、会社の成長にもつながる。それも「EX⇒CX」の1つの形ではないかと思うのです。

また、社員のビジョンをかなえるためにも尽力しています。一例をあげますと、当社では年度初めに社長や営業所長から活動方針を発表する場があります。しかしそれだけですと、社員一人一人が「当事者」として受け止められず、実行に移せないケースがあったのです。

そこで、私が統括する北関東ブロックでは「営業所のビジョン」を全員で作るようにしました。一人一人のビジョンと会社のビジョンが少しでも重なるような独自のビジョンを共同制作することで、従業員が積極的に会社にかかわろうと思える組織作りを目指しています。

そのほか、「話しかけやすい人」になることを日々意識しています。たとえばメンバーから「他部門でこういう仕事をしている人から学びたい」という声が上がれば、他の営業所員に同行させてもらえるようマッチングを実施しています。

ヤマシタで働くやりがい、魅力は何だと思いますか。

何よりも、社会にとって「なくてはならない事業」に携われることだと思います。人生のなかでも終盤のフェーズにかかわり、ご利用者様の笑顔が見られるのが、ヤマシタで働く最大のやりがいだと考えています。

同時に、介護・福祉はとても責任が重い仕事です。たとえば、適切なタイミングで介護用品を導入すればご自宅でこれからも生活できた方が、導入ができないことによってたった2カ月で亡くなってしまうような事態も起こり得ます。その責任の重さも実感しながら日々のサービスに取り組んでいます。

最後に、記事をご覧の方にメッセージをお願いします。

ヤマシタは社内改革の一環として、年功序列型から成果に応じた昇給・昇進制度に変わったことで、一人一人の仕事への向き合い方も大きく変わりました。待遇面で、給料アップの機会が増えたことも、やりがい向上につながっています。マネジャー職として能力を発揮しながら、その成果がしっかりと評価される環境が整っていると自信を持っていえます。

生産性を高めつつ、ご利用者様の視点に立った質の高いサービス提供を実現する。在宅介護のプラットフォームになるという大きなビジョンに共感していただける方は、ぜひご応募いただけたらと思います。

人財戦略部・人財本部部長の菅原聡と北関東ブロック長の廣瀬智也の画像